LIFE LOG(ここにはあなたのブログ名)

タクシーで社会復帰できた元高齢ニートのブログ

首吊り10秒前くらいのギリギリのところですんなり社会復帰できました。

リクナビを駆使したこんな会社探しで無事に一次面接17連敗

新卒時、僕は就職活動に成功した。
いや、成功なんて表現は大仰か。
とりあえず、就職留年せずにどうにか内定を確保できた。


就職氷河期の真っ只中だったことを考えれば、我ながらよくやったと思う。
大学4年の秋になってもリクスーを脱げずにいるクラスメートは多くいた。
ただ、その道のりはスマートとは程遠かった。
僕は内定を獲得するまでに一次面接17連敗を経ていたからだ。


当時、就活生のあいだではこんな噂がまことしやかにささやかれていた。

「一次面接ではほとんど落とされない。『ヤバい奴』の足切りでしかない」

この噂は多分正しい。
実際、僕は1年足らずでサラリーマン社会から脱落したし、その後のブランクも長期に及んだ。
きっと、面接官たちは僕が会社員としてやっていけるとは到底思えなかったのだろう。
今となってはその慧眼を認めざるを得ない。


僕を『ヤバい奴』たらしめる要素。
その最たるものは労働意欲の低さだろう。
当時から勘付いてはいた。

確かに、周りを見れば僕に限らず怠惰でルーズで覇気のない連中はゴロゴロいた。
表面的には同類に見えなくもない。
ただ、そんな彼らですら僕とは決定的に違った。

彼らは"条件付きで"前を向いていたのだ。

広告代理店に入ればアイドルと楽しく仕事ができそう。
大好きなサッカーに携われる仕事ならやっていけそう。
兄弟のように仲が良い先輩が勤めるあの会社なら入社したい。

理由は違えども、皆どこかに自分なりのオアシスが必ずあると信じていた。
説明会をブッチしようが、ノープランで面接に臨もうが、労働そのものに舌打ちしていようが、意欲自体が死に絶えているわけではなかった。
ふたを開けてみれば、彼らは一次面接で善戦していた。
『ヤバい奴』のラベリングは適さないだろう。


一方の僕はオアシスの実在すら信じられず、徹底的に後ろ向きだった。
どんな会社だろうが到底勤まる気がしなかった。
死ぬか地獄を見るかの二択でどうにかして地獄を探り当てるミッション。
僕にとって就活はそれほど救いがなかった。


僕の怯えや消極性が如実に表れたのは会社探しだろう。
周りの学生が合同説明会に参加するなか、僕は自室でひたすらリクナビの検索窓にワードを打ち込んでいた。

"160日"……0社
"159日"……0社
"158日"……0社

そう、僕はなによりもまず休日日数で企業をふるいにかけていたのだ。
他のどの条件よりも重要視した。

どうせ職場に馴染めないのならせめて1日でも多く家にいたい。
そんな切なる願いを胸に捻り出した生存戦略だった。

次に社員紹介ページを見る。
ゴルフ焼けした恰幅の良い男が一人でも写っていれば別の会社を探す。
こんなことをひたすら繰り返していた。


やはり僕は根っからの社会不適合者なのだろう。
あるとき、このスクリーニング法を仲間に明かしたとき、札付きのダメ人間キャラの奴でさえ軽く引いていた。
柄にもなく「そんな考えでいいのか?」と。


ただ、その場で理解を示してくれた人間がたった一人だけいた。
リュウちゃんという男だ。
あだ名の由来は「二留」の留。同学年ながら僕より二歳年上だった。
彼は「その手があったかあ‼」と大興奮しっ放しで周囲をドン引きさせていた。


今振り返っていれば、象徴的な出来事だったように思う。
リュウちゃんは卒業と同時にニートになり、他の仲間は皆無事にサラリーマンとなった。
僕のネガティブな姿勢に対する反応で将来が正確に占えていたというわけだ。


その後、僕も案の定ニートになった。
あの内定は神様のいたずらに違いない。